【パンデミック】戦略の幅が広がる?「臨時治療所」アレンジルール解説
導入:パンデミックの新たな可能性を探る
世界中に広がる病原体と戦う協力型ボードゲーム『パンデミック』は、その緊迫感とプレイヤー間の協力が魅力です。何度も繰り返しプレイされている方も多いのではないでしょうか。しかし、熟練してくると、特定の都市に病原体が集中しやすく、展開が似通ってくることで、少しマンネリを感じることもあるかもしれません。
この記事では、そんな『パンデミック』のプレイに新鮮さをもたらすための簡単で手軽なアレンジルール、「臨時治療所」についてご紹介します。このアレンジを加えることで、ゲームの展開に変化が生まれ、新たな戦略を考える面白さが加わります。
「臨時治療所」アレンジの概要
「臨時治療所」アレンジルールとは、ゲーム開始時にマップ上の特定の都市に、特別な効果を持つエリア(臨時治療所)を設置するというものです。この臨時治療所がある都市では、通常の都市でのアクションに加えて、病原体キューブを取り除くことに関連する特別なアクションを実行できるようになります。
このアレンジの目的は、特定の場所にプレイヤーを集めやすくしたり、危機的な状況にある都市からの病原体除去を助けたりすることで、ゲームの展開を多様化し、協力プレイにおける選択肢を増やすことです。
詳細解説:コンポーネントとルールの変更点
このアレンジを導入するために必要なものと、具体的なルール変更点について説明します。
1. コンポーネントの準備と設置
まず、「臨時治療所」がある都市を示すための目印を用意します。これは特別なコンポーネントを用意する必要はありません。例えば、以下のようなもので代用可能です。
- ゲームで使用しない余分なプレイヤーコマ
- 小さめのコインやチップ
- 付箋に「治療所」と書いてマップに貼る
次に、どの都市に臨時治療所を設置するかを決めます。設置場所の決め方にはいくつか考え方があります。
- ランダムに決定: ゲーム開始時に、プレイヤーカードの山札から特定の枚数(例:2枚)を引いて、そこに描かれた都市に設置する。
- プレイヤーの合意で決定: ゲーム開始前に、プレイヤー全員で話し合って、戦略的に重要な都市や、通常病原体が広がりやすい場所に設置する。
- 特定の条件で設置: ゲーム中に、特定の条件(例:同じ病原体キューブが3個置かれた都市、研究施設が建設された都市など)を満たした際に、そこに臨時治療所を設置する。
今回は、最も手軽な「ゲーム開始時にランダムに2都市に設置する」方法を推奨します。選ばれた都市に、準備した目印を置けば準備完了です。
2. 新しいルール:臨時治療所の効果
臨時治療所が設置された都市では、元のルールに加えて、以下の特別なアクションが可能になります。
- 追加アクション: 臨時治療所がある都市にいるプレイヤーは、自分の手番中、アクションを消費せずに、その都市にある病原体キューブを1個取り除くことができます。
- このアクションは、手番中に一度だけ実行可能です。
- 通常の「治療」アクションとは異なり、このアクションで取り除くことができるのは1個だけです。
- 病原体の「治療済み」状態に関わらず、実行できます。つまり、まだ治療薬が開発されていない病原体であっても、このアクションを使えば臨時治療所がある都市から1個だけキューブを取り除くことが可能です。
プレイ例: あなたのプレイヤーコマが、臨時治療所がある都市「パリ」にいるとします。パリには赤い病原体キューブが2個置かれています。まだ赤い病原体の治療薬は開発されていません。 あなたの手番が始まりました。あなたは通常のアクション(移動、治療、カード使用など)を行う前に、あるいは行った後に、臨時治療所による追加アクションを実行できます。 追加アクションとして、パリにある赤い病原体キューブを1個取り除きました。アクションポイントは消費していません。これでパリにある赤い病原体キューブは残り1個になりました。 その後、あなたは通常のアクションとして「飛行機で移動する」や「手札を交換する」などを実行できます。
プレイへの組み込み方と注意点
このアレンジルールは、ゲーム開始時の準備(臨時治療所の設置)と、プレイ中の追加アクションの適用のみで導入できます。
- 準備: ゲームセットアップ完了後、決めた方法で2都市を選び、目印となるコンポーネントを置きます。
- プレイ中: 臨時治療所がある都市にいるプレイヤーは、自分の手番中に、アクションを消費せずキューブを1個取り除くかを選択できます。
- 元のルールとの違い: 最も大きな違いは、特定の都市で「アクションを消費せずに」病原体キューブを1個取り除ける点です。これにより、病原体の拡大スピードに対して、プレイヤーが少しだけ優位に立てる可能性があります。特に、治療薬ができていない初期段階や、特定の都市に病原体が集中してアウトブレイクの危機が迫っている状況で役立ちます。
- バランスへの影響: この追加アクションにより、ゲームの難易度がわずかに下がる可能性があります。もしゲームが簡単になりすぎると感じた場合は、以下の調整を試すことができます。
- 臨時治療所の設置場所を1箇所にする。
- 追加アクションの実行タイミングを「手番の開始時のみ」や「手番の終了時のみ」に限定する。
- 追加アクションでキューブを取り除けるのは「治療薬が開発済みの病原体のみ」とする。
まとめ:マンネリを解消し、新たな戦略を生み出す
今回ご紹介した「臨時治療所」アレンジルールは、準備も簡単で、既存のゲーム体験を大きく損なわずに新しい要素を加えられます。
このアレンジを導入することで、以下のようないつもと違う展開や面白さが生まれる可能性があります。
- 臨時治療所が設置された都市が戦略的に重要な拠点となり、プレイヤーが集まりやすくなる。
- アクションを節約して病原体を取り除けるため、移動や他の重要なアクションにリソースを使いやすくなる。
- ピンチの都市からの病原体除去を助け、アウトブレイクを回避しやすくなる。
- プレイヤー間で「誰が臨時治療所のある都市に行くか」「いつ追加アクションを使うか」といった新たな協力の相談が生まれる。
いつもの『パンデミック』に少し飽きてきた、もっと違う展開を楽しみたい、という方は、ぜひこの「臨時治療所」アレンジルールを試してみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見と楽しみがあるはずです。