【パンデミック】開発した治療薬を有効活用!「感染抑制エリア」ルール解説
はじめに
協力型ボードゲームの代表作である『パンデミック』は、プレイヤーたちが協力して世界の感染症と戦うスリリングな体験を提供してくれます。しかし、何度かプレイしていると、特に中盤以降、治療薬開発後の展開が似通ってきて、少しマンネリを感じることもあるかもしれません。
この記事では、『パンデミック』のゲーム体験に新たな戦略的な要素を加える「感染抑制エリア」ルールをご紹介します。このアレンジは、開発した治療薬を単に勝利条件の一部とするだけでなく、ゲームボード上の特定の都市への感染拡大リスクを軽減するための積極的な手段として活用するものです。手軽に導入でき、ゲーム展開に新鮮な変化をもたらす可能性があります。
「感染抑制エリア」ルールの概要
このアレンジルールは非常にシンプルです。プレイヤーが特定の色の治療薬を開発した後、その治療薬の「効果」をボード上の特定の都市に「設置」できるようになります。治療薬が設置された都市は、あたかも強化された検疫区域のように働き、以降その都市で発生する感染が通常よりも抑えられます。
これは、開発した治療薬を単に「治癒」のための条件とするだけでなく、パンデミックの進行そのものに対する「予防」や「緩和」の手段として使えるようにするものです。どの都市に治療薬の効果を設置するかが、新たな戦略のポイントとなります。
ルールの詳細解説
このアレンジを導入するために、特別なコンポーネントは必要ありません。ゲームに付属しているオリジナルの治療薬トークンを、ボード上に置くための目印として使用します。
変更点は以下の通りです。
1. 「治療薬配置」アクションの追加
- いずれかの色の治療薬が開発された後、自分の手番中に、プレイヤーは1アクションを消費することで、開発済みの治療薬に対応する色の治療薬トークン1つを、ボード上の任意の同色の都市に配置することができます。
- 既にその都市に同じ色の治療薬トークンが置かれている場合は、重ねて配置することはできません。
- 異なる色の治療薬トークンが既に置かれている都市にも、今回のアクションで同じ都市に別の色の治療薬トークンを配置することはできません。(よりシンプルにするため、「1つの都市にはいずれかの色の治療薬トークン1つだけ」という制限を推奨します。)
2. 治療薬トークンが置かれた都市での感染フェイズの処理変更
- ゲーム中の感染フェイズにおいて、山札から引かれた感染カードに示された都市に治療薬トークンが置かれている場合、通常はウイルスが2個置かれるところを、ウイルスは1個だけ置かれます。
- 治療薬トークンが置かれた都市で、感染カードが引かれた際にウイルスの数が3個になる場合(アウトブレイクが発生する場合)でも、まずウイルスを1個だけ置き、その結果ウイルスが3個になった場合に通常通りアウトブレイクを処理します。つまり、アウトブレイク自体を防ぐわけではありませんが、アウトブレックまでの猶予が増える効果があります。
- この効果は、その都市に治療薬トークンが置かれている限り、ゲーム終了まで持続します。ボード上に配置された治療薬トークンは、特別な場合を除き取り除かれません。
プレイ例
例: 1. プレイヤーたちが協力して、赤色の治療薬を開発しました。 2. 赤色の治療薬トークン(通常は小さなカプセル型のコンポーネントなど)が使用可能になります。 3. あるプレイヤーのターン、そのプレイヤーは手番のアクションとして、1アクションを消費し、赤色の都市である「メキシコシティ」に赤色の治療薬トークンを配置しました。 4. 以降の感染フェイズで「メキシコシティ」の感染カードが引かれた場合、通常ならメキシコシティに赤いウイルスが2個追加されるところ、このルールのもとでは1個だけ追加されます。 5. 他のプレイヤーも、自分の手番のアクションとして、開発済みの他の色の治療薬トークンを、それぞれの色の都市に配置していくことができます。
プレイへの組み込み方と注意点
- ゲーム開始前の準備: このルールのために特別な準備は必要ありません。オリジナルの治療薬トークンを使用します。
- プレイ中の適用: いずれかの色の治療薬が開発されたら、その色の治療薬トークンが配置可能になります。自分の手番アクションとして配置し、以降その都市の感染フェイズの処理が変わります。
- 元のルールとの主な違い: 元のルールでは、治療薬開発は主に特定の都市で「治療」アクションを行った際にその都市から全てのウイルスを取り除くことを可能にし、4つの治療薬を開発するとゲームに勝利するという目的でした。このアレンジでは、治療薬が開発された後も、特定の都市への感染対策として活用するという新しい選択肢が生まれます。
- バランスへの影響: このルールは、特定の都市での感染拡大のスピードを少し緩和する効果があります。ゲーム全体の難易度がわずかに下がる可能性があります。もし元の難易度でプレイしたい場合は、例えば初期感染都市の数を増やしたり、初期のウイルス数を増やしたりする調整と組み合わせることも考えられます。
- 想定される面白さの変化:
- 治療薬開発の価値向上: 治療薬を開発することが、勝利への道筋だけでなく、具体的な感染対策手段にもなるため、開発の優先度が変わる可能性があります。
- 新たな戦略ポイント: どの色の治療薬から開発するか、そして開発した治療薬をボード上のどの都市に配置するか、という新しい戦略的な悩みが生まれます。感染の多い都市に置くか、戦略的に重要なハブ都市に置くかなど、プレイヤー間の話し合いが活発になるでしょう。
- ゲーム展開の多様化: 毎回異なる都市に治療薬が配置されることで、同じゲームでも異なる感染の広がり方となり、展開のマンネリ化を防ぎやすくなります。
まとめ
今回ご紹介した「感染抑制エリア」ルールは、ボードゲーム『パンデミック』に手軽に導入できるシンプルなアレンジです。開発済みの治療薬をボード上に配置可能にすることで、特定の都市の感染リスクを軽減するという新しい戦略が生まれます。
いつものパンデミックに少し新鮮さが欲しいと感じている方や、治療薬開発後の展開に新たな選択肢を加えたいと考えている方におすすめです。ぜひ、次のプレイでこのアレンジルールを試していただき、パンデミックの新しい一面を発見してみてください。